SSH(卒業生の活躍)
【SSH卒業生の活躍】No.5 飯田朋子さん(32期生)
☆SSH指定期間に活躍した卒業生の活躍を、定期的に更新していきます☆
飯田朋子さん(32期生)
卒業年:2012年卒業
経 歴:2017年3月 筑波大学 人文・文化学群 日本語・日本文化学類 卒業
2020年3月 筑波大学大学院 人文社会科学研究科 博士前期課程 修了
2023年3月 筑波大学大学院 人文社会ビジネス科学学術院 博士後期課程 修了(博士〔国際日本研究〕取得)
2023年4月~2025年3月 クロアチア共和国 ユライ・ドブリラ・プーラ大学 講師
2025年9月~現在 筑波大学 人文社会系 特任助教

研究について
現在、私は筑波大学で特任助教として働いています。大学教員として、学生に授業をしたり、論文の執筆を指導したり、研究プロジェクトを行ったりしています。専門は、簡単に言うと日本語教育で、外国人留学生への日本語教育や、日本語教師になりたい人の養成、教師の研修、大学における教育連携など、幅広く教育・研究に携わっています。
また、個人の研究では、日本で働く外国人と日本人のコミュニケーションや、外国人労働者に対する日本語教育などをテーマにしてきました。皆さんは、現在、多くの外国の方が様々な形で日本にやってきていることを知っているでしょうか。大学で勉強するために来日する人、仕事のために来日する人、そうした人々と一緒に日本で生活する家族など、その背景は様々です。そして、それぞれが、必要とする日本語や身につけたい知識は異なり、また、仕事や生活で困難に感じることも異なります。日本の人々との間に軋轢が起きることもあります。そのため、実際の現場で人々がどのようにコミュニケーションを取っているのかを調査・研究し、社会に対して、学会や論文などでそれらを発表しています。
それから、海外でも日本語教育は行われています。日本語を勉強したいと考える海外の人もたくさんいます。日本の伝統文化に興味がある、アニメ・漫画が好き、自分の家族や先祖に日本人がいて自分のルーツとして日本語を学びたい、将来日本で働きたい、など、動機は様々です。私はクロアチアの大学で教員として勤務していた時期もあります。その時期は、クロアチア日本語教師会の副会長もしていました。海外で仕事をしていて特に興味深く、研究が必要だと感じたのは、「継承語」です。これは、簡単に言うと、親などの家族から受け継ぐ言語で、その人が暮らす社会では主要な言語として使われていないものを指します。例えば、日本の人が海外に行って、そこで海外の人と結婚して子どもが生まれれば、子どもはその国の言語の中で生きていくことになります。しかし、日本人の親は、子どもに日本語を話せるようになってほしいと願うことも多いです。これは、海外から日本に来た外国の人が日本で暮らしていくときにも起こります。しかし、皆さんにも分かると思いますが、子どもも学生も忙しいのです。親から、「○○語を勉強しなさい」と言われても、困ってしまったり、嫌だと考えたりすることもあります。一方で、子どもが大人になってから、「やっぱり○○語を勉強しておけば良かったな」と思い、勉強を始める場合もあります。今は、日本から外国にも、外国から日本にも、多くの人が行き来する社会になっています。このような継承語教育についても、まだまだ研究が必要なことが多くあります。日本語教育者として、研究者として、現代社会にはどのような研究や教育が必要か、よりよい日本語教育のあり方を考えることも、私の研究の1つです。
これらは私の仕事の一部ですが、私は日本をはじめ、アジア、ヨーロッパ、南米など、様々な地域をフィールドとして研究を行っています。私の研究や教育について詳細を知りたい人は、以下のページを見てみてください。
https://trios.tsukuba.ac.jp/researcher/0000005143

SSHと私
私が在学していた当時、清真学園はSSHの第Ⅰ期指定期間中でした。私は高校1年生のときに、先生方の指導のもとで「遺伝学から見る人格形成」というテーマで研究に取り組み、総合学習発表会で最優秀賞をいただきました。
現在は研究者として様々な研究を行い、学会や国際会議などで発表したり、論文を執筆したりしていますが、私の初めての研究体験は、高校生のときに清真学園で行ったものでした。自らテーマを設定し、調査・考察した内容を他者に伝えるという経験を通して、研究することの面白さを知り、自分にはこうした活動が向いているのかもしれないと感じました。そして、研究を仕事にするにはどうすればよいのかと考えるきっかけにもなりました。この経験があったからこそ、私は今、大学教員、研究者という仕事に就いているのかもしれません。
後輩へ
皆さんには、ぜひ自分の興味や関心を大切にしてほしいと思います。私自身、学生時代の学びや海外での経験を通して、自分が研究したいことを少しずつ見つけてきました。特に、私は大学生・大学院生時代に、イタリアなどへの海外留学、海外インターンなどを多く経験しました。日本とは異なる文化、言語、土地は刺激に満ちていて、新しい経験をするということそのものが今に繋がっています。
私は研究者っていいな、面白そうだな、と高校生のころから考えていて、実際に今研究者になっています。博士号を持っていることで、「飯田博士!すげー!」などと言われることもありますが、研究とは実際は地道で地味なものです。しかし、そんな地道で地味な仕事が楽しいから、私はこの仕事をしています。皆さんは、何か好きなことがあるでしょうか。「なんか面白いな」「これ、いいな」と思う程度のことでもよいのです。それがもしかしたら、将来に繋がっていくかもしれません。
私は博士号を取得して大学院を修了する際、修了式(卒業式)で謝辞総代を務めました。そのときにも言ったのですが、現代社会で大切なのは、自分の言葉で語ることができるようになることだと思います。私は何が好き、私はこう考える、など、恐れずに自分の言葉を発信できることが、後悔のない人生につながるのではないでしょうか。
何かに挑戦しても、必ずしもうまくいくとは限りません。しかし、その経験が次の何かにつながることもあります。そして、休憩や回り道も大事で、それも経験の1つなのです。休んで、遊んで、道草を食ってみることも大切です。途中で道が変わっても、興味が変わっても、それは当たり前のことであって悪いことではありません。目先の結果だけにとらわれず、長い目で見ながら、自分のやりたいことを探して挑戦してみてください。