SSH(卒業生の活躍)

【SSH卒業生の活躍】No.4 R.Y.さん(42期生)

☆SSH指定期間に活動した卒業生の活躍を、定期的に更新していきます☆

R.Y.さん(42期生)

卒業年:2022年卒業

所 属:慶應義塾大学文学部人文社会学科

研究について

大学では、西ドイツによるナチ被害者への補償政策と歴史家の関係性について研究しています。

西ドイツではナチスがヨーロッパ全域にもたらした破滅的な帰結への反省から、「過去の克服」と呼ばれるさまざまな政策が実施されてきました。この政策における柱の一つがナチ被害者に対する補償の展開です。西ドイツはこれまでに1059億マルクもの補償を行なっており、これは日本円に換算するとおよそ6兆円にのぼります。

このような補償政策の裏側には、歴史家の関与がありました。当時ミュンヘンに本部が置かれていた現代史研究所に所属する歴史家たちは、行政機関や裁判所からの要請に応じて、ヨーロッパ各地におけるナチ被害に関するレポートを作成していました。これらのレポートは歴史学の専門的な知見に基づいて作成され、補償の可否を決定する法的判断の場で利用されました。

私の研究ではこれらのレポートを読解し、当時の歴史家たちがナチ被害者への補償を実現するために、どのような戦略を取っていたのかについて分析しています。

ベルリンのホロコースト記念碑(筆者撮影)

SSHと私

清真学園在学中は刑法ゼミに所属していました。刑法ゼミでは法律に関することであれば比較的自由に研究テーマを設定することができたので、私はハンムラビ法典と現代日本の民法・刑法を比較し、共通点をまとめる研究を行いました。今思い返すととても大雑把な研究ではありましたが、実際に資料に触れながら分析を行うという経験は、大学での学習や研究に大いに役立っています。

私が文系への進学を志したのもSSHの影響が大きいです。高校1年生の頃、私は物理や化学に強い関心を持っており、大学の文系学部にはあまり魅力を感じていませんでした。しかし友人に誘われて参加した刑法ゼミで研究や発表を行ううちに、次第に法学や歴史学に興味を持つようになり、歴史や政治経済などの授業を楽しめるようになりました。

またSSHは私の視野を日本の外にも広げてくれました。私が在学していた頃、清真学園には海外の提携校から多くの留学生が訪れており、彼らとの交流を通じて外国の人々と意思疎通をすることの楽しさを知ることができました。この経験のおかげで、大学に入ってから外国出身の学生や教授とコミュニケーションをとることを躊躇せずにすみ、また海外での語学研修にも迷わず挑戦することができました。

ドイツでの語学研修の様子

こうして振り返ると、今の私があるのはSSHの活動のおかげのように感じます。SSHを通じて新たな学問に触れてみると、きっと将来の可能性が広がると思います。ぜひ積極的に活動に参加してみてください。

大学で歴史学を学びたいと考えている方へ

大学で歴史学を学ぶと高校までに勉強した歴史の授業とのギャップに驚くかもしれません。もちろん全てがそうというわけではありませんが、中学・高校の歴史では教科書の内容を受動的に取り込んでいく行為が中心である場合が多いと思います。一方大学では、一次資料に直接あたり、自分自身で明確な根拠に基づいた妥当な議論を組み立てていくことが求められます。大学で歴史学を学びたいと考えている方は、一度オープンキャンパスに参加してみるといいかと思います。

後輩へ

大学は自由な場です。勉強にアルバイト、サークル活動などさまざまなことに挑戦することができます。しかし、そのためには自分から能動的に動くことが大切です。例えば大学の教授は、何もしなければ講義以上のことを教えてはくれませんが、自分から質問に行けばさまざまな知識を喜んで授けてくれます。ぜひ皆さんは大学に入ったら自分から積極的に行動し、周囲の環境を最大限に活用してください。

以上の内容が、皆さんの進路選択の助けになれば嬉しく思います。